カフェイン中毒死にエナジードリンクの常飲は関係していたのか [ニュース]
12/21に報じられた「エナジードリンク常用者のカフェイン中毒死」。各記事やマスメディアでは『1年にわたるエナジードリンクの常用』を大きく取り上げていましたが、果たして本当にそれが原因だったのでしょうか?
結論から言えば、私はエナジードリンクの常用とカフェイン中毒死は、直接関係しないのではないかと考えています。
その理由は、
1:カフェインは体内に長時間残留しない(=摂取した期間の長さは関係ない)ため
2:直接の死因はエナジードリンクではないと考えられるため
3:そもそもカフェイン中毒にならなくても他の理由で死ぬ可能性があったため
この3つです。
説明する前に、まずは毎日新聞様のこの記事をご覧ください。
ここでは死因はこうあります。
”「エナジードリンク」と呼ばれるカフェインを含む清涼飲料水を大量に飲んだ九州の男性が中毒死した問題で、福岡大(福岡市)は21日、解剖の結果、カフェインの血中濃度が致死量に達していたことが分かったと発表した。胃の中からカフェインの錠剤も見つかり、解剖した同大の久保真一教授(法医学)は記者会見で「短期間の大量摂取は危険だ」と注意を呼びかけた。
(中略)
解剖で男性の血液1ミリリットルから致死濃度(79〜567マイクログラム)に当たる182マイクログラムのカフェインを検出した。胃からもカフェイン錠剤の粉末が見つかり、中毒死と結論づけた。”
さて、お判りでしょうか?
「胃の中からカフェインの錠剤も見つかり」「胃からもカフェイン錠剤の粉末が見つかり」とあり、カフェイン粉末を摂取したことは明記されているのですが、エナジードリンクは本数どころか死亡時に飲んでいたのかすら記されていません。
(※ただし文頭に「カフェインを含む清涼飲料水を大量に飲んだ」とありますが、「1年という長期間に渡って飲み続けていた」とも「短期間に何本も飲んだ」とも受け取れるものの、後者の場合はその本数を取り上げないのは違和感を覚えます。その理由は後述します)
この時点で「エナジードリンク死因説」にだいぶ怪しさを感じますが、先ほど挙げた3つの説明をしていきたいと思います。
「1:カフェインは体内に長時間残留しない」
ウィキペディアのカフェインのページには、”ヒトの体内でカフェインは代謝されて、主に尿酸となって尿と共に排泄される。ヒトの成体において、体内でのカフェインの半減期は通常、約4.9時間程度とされている。”と書かれています。
つまり、短期間に大量に摂取しなければ命に関わる中毒症状は起こらないという事です。
(※ただし依存性やカフェイン摂取の中断時に2~9日間の離脱症状が起こるため「長期間に常用しても全く悪影響が無い」わけではありません。)
「2:直接の死因はエナジードリンクではない」
先ほども言及しましたが、胃から検出されたと記述されているのはカフェイン錠剤のみであり、記事中に「死亡時にエナジードリンクを飲んで(併用して)いた」とは記されていません。
エナジードリンクを飲んでいたと明記されているのは”ガソリンスタンドで深夜から早朝まで勤務し、眠気覚ましとして1年以上前からカフェイン150ミリグラム程度を含むエナジードリンクを飲んでいた。”という1年続けていた習慣のみです。
では、「亡くなった方が経口摂取した錠剤数とエナジードリンクの量」とはどの程度のものなのでしょうか? 記事中にはこうあります。
”血中濃度から推定される経口摂取による致死量は3000ミリグラム(3グラム)程度。
(中略)
カフェイン錠はビタミン剤などと同じ「第3類医薬品」などとして市販され、1錠でコーヒー2杯に相当する100ミリグラムを含んでいるものや、それを超える商品もある。
(中略)
公益財団法人「日本中毒情報センター」(茨城県つくば市)によると、1本(160〜500ミリリットル)当たり14〜180ミリグラムのカフェインを含有し、中には眠気覚ましと称して1本(50ミリリットル)に100〜150ミリグラムを含有する商品もある。20〜30本を一気に飲むと致死量に達する計算だ。”
つまり、カフェイン錠剤もエナジードリンクも、それぞれ20個(本)以上飲まなければ(もちろん個人差はあるでしょうが)致死量に達しないという事が分かります。
記事前半に「もし短期間にカフェインが致死量に達する程に大量のエナジードリンクを飲んだのであれば、それを報じないのはおかしい」と注釈を付けましたが、その理由がお判りになったのではないかと思います。
「3:そもそもカフェイン中毒にならなくても他の理由で死ぬ可能性があった」
(※予め申し上げておきますが、この項は亡くなった方に対する非難でも、「この人が悪いだけでエナジードリンクは危険ではない」というような理由付けや弁明でもないという事をご理解ください。)
記事中にはこうあります。
”ガソリンスタンドで深夜から早朝まで勤務し、眠気覚ましとして1年以上前からカフェイン150ミリグラム程度を含むエナジードリンクを飲んでいた。亡くなる約1週間前から家族に体調不良を訴え、吐くこともあった。”
つまり「生活リズムが崩れている状態で1年間生活し、1週間前から吐くほど体調が悪化しているにもかかわらず、カフェインで眠気を誤魔化してまで深夜勤務を続けなければならなかった」状態だったという事です。
そして、それほどまでに肉体的に追い詰められていたにもかかわらず、休むことが出来なかったという事です。
これは私のごく個人的かつ主観的な意見なのですが、正直に、そして言葉を選ばずに言うのであれば中毒で亡くならなかったとしても、体調不良が原因で入院や、あるいは亡くなっていたのではないかと思います。
私が思うに、この件で真に報道の中で大きく伝えるべきだったのは「カフェイン中毒で亡くなった人がエナジードリンクを常飲していた」ではなく、「眠気を誤魔化す為にエナジードリンクを常飲し、カフェインを大量摂取しなければならない生活をせざるを得なかった」という部分だと思います。
今後、今回亡くなった方のように「無理をさせられたがために命を失ってしまう」事が二度と起こらないことを祈るばかりです。
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結論から言えば、私はエナジードリンクの常用とカフェイン中毒死は、直接関係しないのではないかと考えています。
その理由は、
1:カフェインは体内に長時間残留しない(=摂取した期間の長さは関係ない)ため
2:直接の死因はエナジードリンクではないと考えられるため
3:そもそもカフェイン中毒にならなくても他の理由で死ぬ可能性があったため
この3つです。
説明する前に、まずは毎日新聞様のこの記事をご覧ください。
ここでは死因はこうあります。
”「エナジードリンク」と呼ばれるカフェインを含む清涼飲料水を大量に飲んだ九州の男性が中毒死した問題で、福岡大(福岡市)は21日、解剖の結果、カフェインの血中濃度が致死量に達していたことが分かったと発表した。胃の中からカフェインの錠剤も見つかり、解剖した同大の久保真一教授(法医学)は記者会見で「短期間の大量摂取は危険だ」と注意を呼びかけた。
(中略)
解剖で男性の血液1ミリリットルから致死濃度(79〜567マイクログラム)に当たる182マイクログラムのカフェインを検出した。胃からもカフェイン錠剤の粉末が見つかり、中毒死と結論づけた。”
さて、お判りでしょうか?
「胃の中からカフェインの錠剤も見つかり」「胃からもカフェイン錠剤の粉末が見つかり」とあり、カフェイン粉末を摂取したことは明記されているのですが、エナジードリンクは本数どころか死亡時に飲んでいたのかすら記されていません。
(※ただし文頭に「カフェインを含む清涼飲料水を大量に飲んだ」とありますが、「1年という長期間に渡って飲み続けていた」とも「短期間に何本も飲んだ」とも受け取れるものの、後者の場合はその本数を取り上げないのは違和感を覚えます。その理由は後述します)
この時点で「エナジードリンク死因説」にだいぶ怪しさを感じますが、先ほど挙げた3つの説明をしていきたいと思います。
「1:カフェインは体内に長時間残留しない」
ウィキペディアのカフェインのページには、”ヒトの体内でカフェインは代謝されて、主に尿酸となって尿と共に排泄される。ヒトの成体において、体内でのカフェインの半減期は通常、約4.9時間程度とされている。”と書かれています。
つまり、短期間に大量に摂取しなければ命に関わる中毒症状は起こらないという事です。
(※ただし依存性やカフェイン摂取の中断時に2~9日間の離脱症状が起こるため「長期間に常用しても全く悪影響が無い」わけではありません。)
「2:直接の死因はエナジードリンクではない」
先ほども言及しましたが、胃から検出されたと記述されているのはカフェイン錠剤のみであり、記事中に「死亡時にエナジードリンクを飲んで(併用して)いた」とは記されていません。
エナジードリンクを飲んでいたと明記されているのは”ガソリンスタンドで深夜から早朝まで勤務し、眠気覚ましとして1年以上前からカフェイン150ミリグラム程度を含むエナジードリンクを飲んでいた。”という1年続けていた習慣のみです。
では、「亡くなった方が経口摂取した錠剤数とエナジードリンクの量」とはどの程度のものなのでしょうか? 記事中にはこうあります。
”血中濃度から推定される経口摂取による致死量は3000ミリグラム(3グラム)程度。
(中略)
カフェイン錠はビタミン剤などと同じ「第3類医薬品」などとして市販され、1錠でコーヒー2杯に相当する100ミリグラムを含んでいるものや、それを超える商品もある。
(中略)
公益財団法人「日本中毒情報センター」(茨城県つくば市)によると、1本(160〜500ミリリットル)当たり14〜180ミリグラムのカフェインを含有し、中には眠気覚ましと称して1本(50ミリリットル)に100〜150ミリグラムを含有する商品もある。20〜30本を一気に飲むと致死量に達する計算だ。”
つまり、カフェイン錠剤もエナジードリンクも、それぞれ20個(本)以上飲まなければ(もちろん個人差はあるでしょうが)致死量に達しないという事が分かります。
記事前半に「もし短期間にカフェインが致死量に達する程に大量のエナジードリンクを飲んだのであれば、それを報じないのはおかしい」と注釈を付けましたが、その理由がお判りになったのではないかと思います。
「3:そもそもカフェイン中毒にならなくても他の理由で死ぬ可能性があった」
(※予め申し上げておきますが、この項は亡くなった方に対する非難でも、「この人が悪いだけでエナジードリンクは危険ではない」というような理由付けや弁明でもないという事をご理解ください。)
記事中にはこうあります。
”ガソリンスタンドで深夜から早朝まで勤務し、眠気覚ましとして1年以上前からカフェイン150ミリグラム程度を含むエナジードリンクを飲んでいた。亡くなる約1週間前から家族に体調不良を訴え、吐くこともあった。”
つまり「生活リズムが崩れている状態で1年間生活し、1週間前から吐くほど体調が悪化しているにもかかわらず、カフェインで眠気を誤魔化してまで深夜勤務を続けなければならなかった」状態だったという事です。
そして、それほどまでに肉体的に追い詰められていたにもかかわらず、休むことが出来なかったという事です。
これは私のごく個人的かつ主観的な意見なのですが、正直に、そして言葉を選ばずに言うのであれば中毒で亡くならなかったとしても、体調不良が原因で入院や、あるいは亡くなっていたのではないかと思います。
私が思うに、この件で真に報道の中で大きく伝えるべきだったのは「カフェイン中毒で亡くなった人がエナジードリンクを常飲していた」ではなく、「眠気を誤魔化す為にエナジードリンクを常飲し、カフェインを大量摂取しなければならない生活をせざるを得なかった」という部分だと思います。
今後、今回亡くなった方のように「無理をさせられたがために命を失ってしまう」事が二度と起こらないことを祈るばかりです。
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